ここでは、「リトミックレッスン」といっても、あくまで「本格的レッスンの準備のためのリトミックレッスン」をベースとしてお話します。
「本格的レッスンの準備」のリトミックレッスンでは、主に以下の内容でレッスンを行います。
- リズムのききとり
- リズムの譜読み
- 音符の譜読み
- 楽譜を見てピアノを実際に弾く
- ソルフェージュ(主に復唱)
この記事では、特にリズムの譜読みの導入についてお話します。
(対象年齢は、2、3歳児ですが、最初のレッスンとしては、4、5歳児でも使えるかと思います。)
リズム導入レッスンその1:犬と猫
「犬と猫???」と思われた方もいらっしゃると思いますが、犬と猫の鳴き声を用います。
2、3歳児は「いぬ、ねこ」という名称よりも「わん」「にゃー」などの擬音語に特に反応してくれますので、すんなりと受け入れてくれます。
<カードを用意する>
この年齢にとても効果的方法は、言葉での説明より断然、視覚です。
とにかく覚えてもらいたい知識は、カードを用意します。
本の一部を見せるより、カードの方がインパクトがあります。
そして、大切なのはシンプルにするということです。
まず、私が実際使っているカードを紹介します。
とても手作り感満載ですが(笑)ぜひ皆さんも手作りされてください。
きれいな既存のカードより、手書きの絵の方が親近感があるようです。
<カードの使い方>
この犬と猫さん。
どうやって、使うかというと、「ワン」は四分音符、「にゃーおー」は二分音符として扱います。
ですので、「にゃーおー」は「にゃお」でもなく「にゃー」でもなく、きちんと「にゃーおー」と二拍になるように言うことが大事なポイントです。
レッスン例:
犬と猫のカードを2枚同時に生徒の前に出します。
積極的な子どもは、自分から「知ってるよー」と教えてくれますが、最初のレッスンでは恥ずかしがる子どももいますので、質問をします。
「どっちが、ワンってなくかなー?」
「どっちが、にゃーおーってなくかな?」
もしも、5秒ほど待って答えない場合は、講師が先に進めます。
(アウトプットの難しい時期ですので、答えられない子どももいますが、恥ずかしがりやの子ほどインプットはしているはずですので、先に進めます。)
「こっちがワンかなー?」と犬を指します。
「こっちがにゃーおーだね?」と猫を指します。
次は、犬のカードが出されたら、「ワン」、猫のカードが出されたら、「にゃーおー」という練習をします。
「では、一緒に練習してみようか?!
これが出てきたら、『わん』(犬のカードだけを見せて)
これが出てきたら、『にゃー』(猫のカードだけ見せて)」
(しつこいですが、声掛けや説明もいかにシンプルにキーワードを述べるかが、この年齢の子どもたちへのレッスンは大切になります。余計なことをしゃべったりすると、そちらに気を取られることもあります。)
犬のカードだけを見せて、
「わん」
猫のカードだけを見せて、
「にゃーおー」
何度か繰り返します。
この時、必ず講師も一緒に答えます。
(この年齢は、大人の真似をして学んでいくことがほとんどです。
最初のレッスンでは大きな声で受け答えできない子どもたちが半分はいると思っておいてください。
一人芝居になることがありますが、どんどん進めてください。
こどもたちはちゃんと聞いていて、帰ってから家でやってくれたりします。)
<犬猫カードのリズムうち>
上記の練習が終わったら、今度は以下のように犬、猫が並んだものを練習します。
(手の影が映っていてすみません・笑)
レッスン例:
「ちょっと見ていてね」
と言って、指で押さえながら、リズムを言います。
「わん・わん・わん・わん」
「では、一緒に言ってみましょう」
「わん・わん・わん・わん」(生徒と一緒に指で追いながら)
「よくできたね」
猫だけのカードも同じようにやってみます。
次に犬と猫が混ざったカードもやってみます。
レッスン例:
「よくできたから、今日はちょっと難しいもの挑戦してみようか!?」
犬と猫が混ざったカードを見せて、
「わぁ、できるかなぁ?!一緒に一回やってみよう」
「わん・わん・にゃーおー」
「よくできましたー!今度来た時はもっと難しいものできるかもね!」
とにかく、褒めること大事です!(笑)
この年齢に関しては「努力して困難に立ち向かう」というのは、発達段階から考えて、臨むべきことではありません。
いかに多くの課題をちょっとしたことでクリアさせてあげられるか・・!?ということを考えてレッスンしてください。
とにかくたくさんの「できた!」をためることが必要です。
大人でもお買い物のポイントがよくたまるとうれしいですもんね。1000円につき1ポイントで1ポイントたまるより、200円に1ポイントで5ポイントたまった方がなんだか気分いいですよね(笑)
<犬猫リズムの宿題>
宿題として、家でできるようにリズムを書いた用紙をあげましょう。
この場合も、A4用紙等に大きく1つ、もしくは2つのリズムを描いた問題にするのが効果的です。
とにかく、シンプルに、はっきりと!です。
<手打ち、楽器の使用>
上手にリズムを口で言えるようであれば、この「犬・猫リズムカード」を使って、次のように進めてみてください。
- 指で犬猫を追う代わりに、手を叩いてリズムを取る。
- すず、タンバリン等の楽器を使って、リズムを取る
口と体の動作を連携させることは、難しいと感じる子どもたちもいます。
頭で理解はしていても、アウトプットが難しい時期ですので、もし理解しているようであれば、リズムを口で言いながら同時に手で叩くことが困難でも先に進めていっていいと思います。
その場合、保護者の方にもきちんと説明をつけてあげましょう。
「どうしてこの子はできないのに、先生はどんどん進ませるのだろう?」と思っているかもしれません。
コミュニケーションはとても大事ですので、ちょっとしつこいぐらい詳しく説明するのがいいと思います。
その場合は、「口でリズムを言うことと、手を叩くことの二つ違うことを同時に行うのは年齢的にも難しいことですので、理解していれば先に進めていきますね。そのうち、すぐにできるようになると思いますよ」と、説明しておきましょう。
なんとなく進めているのではなく、発達段階を考慮して進めていることを知ると信頼度もぐんと高まります。
<犬猫リズム上級編>
レッスンを数回進めていくと上手になりますので、次のステップとして、以下のような犬・猫リズムを進めていきましょう。
「葉っぱ」は「お休みのマーク」
葉っぱのところでは、音は出さない練習をします。
葉っぱでは、「うん」でも「おやすみ」でも、それぞれ何か一拍に収まる言葉を考えてみるのもいいかもしれませんね。
これは今後「四分休符」になりますので、私は「うん」と言ってお休みする場合が多いです。
レッスン例:
「今日は新しいことやってみるよー。」
「今まで見たことないマークはどれかな?」
「そう!葉っぱのマーク!」
「葉っぱのマークでは、『うん』というだけで、手は叩かないよ」
「じゃぁ、一緒にやってみよう」
「ワン・うん・ワン・うん」
(「うん」の場所では、大げさに手を両サイドに開いて、リズムの調子を取るとよく理解してくれます)
「うわぁ、上手にできたね!」
「音が鳴らない場所がある」というのが、不思議でならない子供もいます。
まだ「拍」の概念がないからです。
ここでは、楽しむ程度のワークで「休符」という存在をちょっとカジらせる、ぐらいがちょうどいいと思います。
次の記事では、この「犬猫」リズムが終わった後のリズム練習について書いてみたいと思います。