今日は、第三回目。音楽制作の歴史について勉強していきましょう。
楽譜
同じ演奏を再現したり、後世に残したりするための音楽制作に欠かせないのは、まずその音楽を記録することが必要となってきます。それが『楽譜』です。
現在の五線譜の原型が誕生したのは、中世グレゴリオ聖歌のために記譜されたネウマ譜と呼ばれるもので、4本の線の上に四角い音符を書く記譜法です。(試験外の内容)
現在のような楽譜(五線譜)が出来上がったのは、17世紀ごろです。
五線譜は上下が音の高さ、左右が時間(音の長さ、リズム)を表現しています。
また、パートを増やしたい場合は、五線譜の段数を増やします。
これは、現在使用されているDAWのアレンジビューに関する概念の原点です。
録音技術の進化
音楽の録音とは、振動を記録することなわけですが、初期の録音技術では、この振動を針を用いて溝として記録するというやり方でした。
この方法での問題点は、「録音のやり直しができない」「途中から録音できない」ことです。
この悩みを解決したのが「磁気テープ」です。
磁気テープでは、「消去する」「つなぎあわせる」ことで、録音を編集することが可能となりました。
MTR(マルチトラックレコーダー)の登場
MTRによって、パート毎に個別トラックに録音してから、後から音量バランスを調整する(=ミックス)といった具合に、録音とミックスを分けて行えるようになり、楽曲の音質クオリティが格段に向上しました。
パート毎に別トラックになっということは、それぞれのパートをそれぞれに録音することも可能となったわけです(=オーバーダビング)
一人ですべてのパートを演奏したり、同じパートを重ねて録音し厚みを出したりと、録音テクニックも次々生み出されました。
初めのころはオープンリール型のMTRを用いて録音されていましたが、安価なカセットテープ型MTRが登場し、普及していきました。
拡声技術
録音技術も進化してきましたが、拡声技術も然りです。
拡声技術の進化によって生み出されたものは、マイク、スピーカー、アンプ等です。
これらが誕生する前、音を大きくするには、楽器数を増やす方法しかありませんでした。
しかし、音響拡声装置「PAシステム」(=Public Addressシステム)によって、歌をマイクで収録して拡声したり、エレキギターなどをアンプを通して拡声し、少人数でも大きな会場で演奏できるようになりました。
スピーカーを縦方向に並べて、スピーカーからの距離によっておこる音圧の減衰を軽減する方式=ラインアレイ方式によって、かなり大きな会場でも快適な拡声を行うことができるようになりました。
自動演奏
一人でもバンドを率いたような演奏できるようにという発想で生まれたのが、様々な電子音を一定の速さで自動演奏するリズムボックスです。
一人演奏するミュージシャンのサポート的な役割でしたが、のちにテクノミュージックのように積極的に使われるようになりました。
また、シンセサイザーとシーケンサ(演奏を記録して自動演奏を行う機械)を組み合わせ、様々な電子音が組み合わさった演奏が作られるようになりました。
さらに1982年に登場したMIDI(Musical Instrument Digital Interface)によって、自動演奏がより細かく表現できるようなりました。
MIDIの登場によって、まずMTRの1トラックにメトロノーム的な同期信号を収録し、それに合わせてレコーディングすることによって一定の安定したテンポで録音するようになり、重ねて録音することが容易になりました。
次回予告
音楽制作の歴史(後半)についてです。