この記事は、MIDI検定3級受験までの道のり:音楽制作の歴史(前半)のつづきです。
デジタル録音
1990年代のCDの普及とともに、録音のデジタル化も進みました。
また、シンセサイザーの質も向上し、MIDI+シンセサイザー音源でよりよいクオリティの録音できるようになりました。
ハードディスクレコーディングソフトウェアであるProToolsは、テープ式のデジタルレコーダーに変わり普及していくことになりますが、当時は多数のトラックを同時に扱えるPCがなかったため、テープ式デジタルレコーダーと併用されていました。
ProToolsによって、より細かなコピー・ペースト、演奏の修正、ピッチ修正など、テープ式では不可能だった編集ができ、より完成度の高い音源ができるようになりました。
DAW
デジタルで音楽制作ができるシンセサイザーやMTRなどを指してDAW(Digital Audio Workstation)という言葉が誕生しました。
元々は、MIDIシーケンスソフトウェアを利用し、ハードウェアのMIDIシーケンサーが用いられていましたが、現在ではソフトウェアタイプが主流です。
↓なつかしい・・・
また、オーディオ録音に関しても、磁気テープからハードディスクタイプのものに発展し、1990年代にはソフトウェアシーケンサーとソフトウェアタイプのオーディオレコーダーが統合された製品ができました。(Studio Vision、Digital Performer)
よって、1台のPCでMIDIとオーディオを同時に扱えるDAWとなりました。
現在、DAWとは、PC上で動くソフトウェアを指すことが一般的となり、
- MIDIシーケンス機能
- オーディオ録音機能
- 音源機能
- ミキサー機能
などを搭載した、総合音楽制作ツールとなりました。
全ての作業がPC上で完結するため、スタジオのシステム環境は簡素化され、結線による音質の劣化も防げるようになったというわけです。
電子楽器の歴史
拡張機能の発達と共に、エレキギター、エレキベース、エレクトリックピアノといった電気楽器が生まれました。
電気的に音を作ることができるシンセサイザーが発明され、ほとんどの電子楽器がMIDIに対応しました。
音源モジュール
(シンセサイザーの音源部だけを独立させたハードウエア音源)を、電子楽器介して演奏するスタイルが生まれました。
レイヤースタイル
多数のシンセサイザーを重ねて音色を作る演奏スタイルが考案されました。
例)ピアノ音にストリングスなどを重ねた音
電子ピアノ
現在多くに普及している電子ピアノは、PCM(Pulse Code Modulation) 音源といってアナログ録音されたものをデジタル化し、信号の強度を一定周期で標本化したものを用いており、よりたくさんのデータを保存しているため、より生に近い音が再現できるようになりました。
VSTインストゥルメンツ
1999年にSteinberg社からリリースされたVSTインストゥルメンツによって、DAWに音源機能が搭載されることが主流となりました。
ネットワーク化
全てがデジタル化し、PC内だけで完結できるようになると、インターネットを介して音楽データをやりとりすることが容易になりました。
データをクラウド化し、まったく違った場所から同時に音楽制作を進めたり、セッションできるようになりました。
過去問題 (2019年)
以下の説明文中の[ ] 内に当てはまる語句を、それぞれ語群から選び番号で答えてください。
DAW に搭載される[ a ] 機能によりすべての作業がDAW 内部で完結するため、
システムの小型化、[ b ] による音質の劣化防止、自宅スタジオとレコーディング
スタジオの環境統一など多くのメリットが生まれました。
[ 1 ] クオンタイズ [ 2 ] 音源 [ 3 ] ピアノロール表示
[ 4 ] 電源不足 [ 5 ] メモリー不足 [ 6 ] 結線
解答
a [ 2 ]
b [ 6 ]
次回
次回は、『現代の音楽制作のプロセス』についてです。